II.調査研究
2.対象と方法
A.対象

欠席状況調査は,前橋市内の全市立小学校,1981年度36校,1982年度37校,1983年度38校,1984〜85年度39校の在籍児童25,000〜26,000人(年度により多少の変動あり)を対象とした。(以下学校年度を主として記述する。従って年度という場合その年の4月から翌年の3月までの期間をいう。)

上記の小学校のうち,5校を血清疫学調査指定校とし,各校とも1981年度の2年生を対象として,総計約600人について連続して5年間,HI抗体価を測定した。5指定校の前橋市内における配置状況を〔図1〕に示した。指定校以外の小学校の配置も合わせて小さな丸で示した。これら5校は,ある程度市内の地理的条件も考慮して選んだ結果,以下に述べるように,おおむね市内各地域の環境的特徴を代表する配置となった。すなわち,敷島小は旧市域にある在籍700人位の中規模校,勝山小は住宅化しつつある農村部にある中規模校,大利根小は新市域にある比較的古い団地にある同じく中規模校(当初は1000人を越す大規模校であったが,途中で学区変更により中規模校となった),荒牧小は群馬大学教育学部の周辺にある新興住宅地の中の中規模校,そして笂井小は純農村部にある300人位の小規模校である。

なお付言すれば,前橋市は群馬県の中央南部にある県庁所在地であり,面積は約147km2,人口は約27万。北東にある赤城山の裾に位置し,北西には榛名山を望み,市の西寄りをよぎる利根川にまたがる。東部及び南部は広く関東平野に連なる。気候は,冬は晴天が続き,北西の乾燥した強い季節風の吹く日が多く,「上州の空っかぜ」あるいは「赤城おろし」として有名である。夏は内陸性の気候を示し,強い日射によって気温の高い蒸し暑い日が多い。そして日本でも最も雷の多い地域である。月平均気温は,最高は8月の25.5℃,最低は1月の2.6℃である。年平均湿度は低く,68%である。(上毛新聞社刊『群馬県百科事典』を参考にした。)


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