II.調査研究
3.成績
D.HI抗体価によって見た小学校のインフルエンザ流行
4)感染既往と感染率
(前文)
インフルエンザ感染の既往が次の流行に与える影響を考察するため,次の調査を行なった。即ちAH1N1型,AH3N2型およびB型について,以前の流行時に感染したか否かを区別し,それぞれの群における次の流行時の感染率をHI抗体価変動により測定した。幸い,われわれは同一児童を5年間にわたって追跡したので,その間の流行について調査することが出来た。まず,1981年11月の抗体価で32倍以上の者は既往ありとし,<16倍および16倍の者は既往なしとした。感染の有無の判定は既述のごとく,流行前後の抗体価において抗体価が4倍以上の上昇を見た者を「感染あり」,2倍以下の者は「感染なし」として集計した。ウイルス型によりA/ソ連(AH1N1:以下A1と略称)型,A/香港(AH3N2:以下A3と略称)型,B型の三つの系列に分けて,それぞれ既往と感染の関係を追跡した。それを一括して〔表18〕に示した。
〔表18〕について,分かりやすいように図示したものが〔図15〕である。各四角形とも黒く塗り潰した部分が有既往者率あるいは感染者率を示す。四角形の横幅は,感染の有無によって分けられてゆく対象者の割合を示している。ここではそれぞれの型について述べ,つづいて,2,3の問題を提起してみたい。
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