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No.1569 : サンプルの偏り(バイアス)
( 返信 )
 まつ  父親父親 [お子さん1人] - 2004/10/20(水) 12:13

最初の問題点は、調査対象のサンプルに大きな偏り(バイアス)が存在していることです。

サンプル数は接種群・非接種群それぞれ1000〜1500人と比較的大きく、どちらかが極端に大きいといった問題はありません。男女差も変わらず。問題はそれ以外です。

一つめは、過去のインフルエンザ予防接種を受けたかどうかです。「前シーズンの接種」「過去3年以内の接種」という属性を見てみると、接種群/非接種群では、以下のように明らかな違いがあります(単位は全体に占めるシェア:%)。つまり、接種群は過去に予防接種を受けている人たちが多く含まれているグループであり、反対に、非接種群は予防接種をほとんど受けていない人たちが多く含まれるグループといえます。

平成12年度:37/2
平成13年度:68/7
平成14年度:70/9

この調査では、小児科診療所の受診患児がサンプルになっているため、次のようにサンプルを選び出している状況が目に浮かびます。まず、予防接種を受けに来た人を接種群として依頼する。次に、実際に病気で受診した人の中から非接種群として依頼する。

では、これによって、どのようなバイアスがかかるでしょうか?

例えば、接種群は健康児で、非接種群は相対的に病弱な子供が多く含まれるかもしれません。実際、アトピーやアレルギーといった属性では、非接種群の方が高い割合になっています。予防接種の禁忌者も、接種群には絶対に含まれませんが、非接種群には含まれている可能性が高い。

また、子供にインフルエンザ予防接種を受けさせる方は、病気の罹患に対して非常に敏感で、手洗いを徹底する、人混みに出かけない、すぐに解熱剤を使用する(この調査では熱の高さで有効性を判断)といった傾向があるかもしれません。

二つめ。平均年齢を見ると、接種群の方が非接種群よりも0.5歳ほど高くなっています。これは、非接種群の方が0歳、1歳のサンプルが多いことが原因です。3年間のサンプル数を合計して、2歳未満のシェアを比べると、接種群では2割にすぎないのに対し、非接種群では4割に達しています。また、平均体重を見ても、接種群の方が非接種群よりも1キロほど重い。

一般的に、年齢が低いほど、様々な病気で高熱を出す機会が多くなると思われます。また、年齢が高くなれば、インフルエンザに自然感染している子供も多くなり、感染を免れることができるようになります。

一応、多変量解析では年齢要因が加味されていますが、線形関係を仮定した1歳ごとのカテゴリー変数なので、年齢要因が正しく反映されているかどうか疑問です。また、三つ目で指摘するように、そもそも、年齢別に分けたサンプルがかなりおかしいため、どの程度まで信用していいのか分からなくなっています。結局、グラフを描けば一目瞭然なのですが、接種群と非接種群での発熱率の違いは、0歳と1歳の部分に集中的に現れているのです(最後のグラフ)。

この報告書では、次のように述べている部分があります。『本研究におけるインフルエンザ様疾患には、非インフルエンザが含まれており、ここで得られた結果は、ワクチンの発病防止効果を過小評価していると考えられる』――しかし、実態は逆でしょう。非接種群は、突発性発疹や風邪などで高熱になりやすい0〜1歳の割合が高いため、インフルエンザ発病率が実態以上に高めにカウントされている可能性が高いのです。したがって、ワクチン有効率は「過大に」推計されていると考えるのが自然です。

三つ目。各年齢ごとの有効率が計算されているのですが、年度ごとの結果が大きく違っており、また年齢が上がるにしたがって比例的に変化するといった傾向もみられず、解釈が非常に難しくなっています。2001年度の報告書では、2歳、3歳、5歳の有効率が30%前後ありますが、4歳に限ってはゼロ。2002年度調査では、2歳の有効率が最も高く、3歳、4歳、5歳と上がっていくにしたがい、有効率は低下していきます。

四つ目。地域別にみると、なぜ大阪だけ、どの年も有効率が低いのか。それ以外にも、地域別に見たサンプルもおかしい気がします。一調査地点あたりのサンプル数の違いや、人口構成を反映していないサンプル構成(東京と岩手のサンプル数が同じとか)などが影響しているのかな?

五つ目。アンケートを郵送で回収するという方式に問題はないか。接種群では、保育園などの通園率が高いため、両親が共働きとなっている割合が高いと思われます。そうしたなかで、正しく子供を観察することができるか(保育園からの伝達など)。また、普段でも仕事・家事・育児に追われて時間がないのに、実際に病気になったとき、アンケートに答える余裕はあるのか。気付いたときに数週間分をまとめて提出する、といった事態は生じていないか。

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