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No.5095 : Re5: おたふく風邪の予防接種
( 返信 )
 まつ  父親父親 [お子さん1人] - 2006/03/01(水) 19:34

こんにちは。

> 以下でムンプス難聴の疫学的調査に関する情報が得られますが、ムンプス難聴の判断基準の中に「高度で」「不可学的」があるので、難聴の発症率が判断基準の違いによるとは考えにくいです。そして高度で不可学的な片耳失聴が年間数百人出ています。

> http://idsc.nih.go.jp/iasr/24/279/dj2794.html


ありがとうございます。いろんな調査があるんですね。早速に拝見しました。その結果、三つほど疑問点が出てきましたので、書かせていただきます。その前に、資料のタイトルを書いておきますね。

国立感染症情報センターLASR
『急性高度難聴に関する調査研究(厚生労働科学研究・特定疾患対策研究事業)より得られたムンプス難聴の疫学調査結果』(Vol.24 p 107-109)

念のため書いておきますが(笑)、以下の文章は、感情に任せての批判ではなく、あくまで中立的・客観的にこの調査を評価した結果として出てきたものです。

一つめです。この調査からは、「高度で不可学的な片耳失聴が年間数百人出ています」という結論は出てきません。むしろ、それよりずっと少ない人数であることが示唆されます。

なぜなら、これはフロー面ではなくストック面の調査になっていると考えられるからです。「研究方法」に書かれている通り、調査対象は「1年間に、突発性難聴、ムンプス難聴の2疾患で受療した全患者」となっています。つまり、たとえ10年前に発症した人でも、調査対象期間に1回でも病院にかかれば、1人としてカウントされるのです。ですから、650人と推計されたムンプス難聴患者数は、1年間に発生した患者数(フロー)ではなくて、その時点で病院にかかっている総患者数(ストック)になります。だからこそ、この調査では、比率を算出する際の分母として、年間のおたふく罹患者数といったフロー統計を使わずに、人口というストック統計を使っているのだと思います。

さらに、この調査では病院の受診者を対象にしているため、複数の病院にかかった人は重複カウントされるという問題点もあります(過大推計)。この点を無視するとしても、この調査を素直に解釈する限りは、「ムンプス難聴は少なくとも20万人に1人の割合」くらいの結論が無難なところだと思います。

二つめです。相対的に小さな問題点ですが、ムンプス難聴患者率が上昇しているからといって、「罹患者数の増加が推定され」ると判断できるかどうかは難しい面があります。

というのも、この調査から推計されるムンプス難聴患者率は、

おたふく罹患率 × 難聴発生率 × 受診率 × 診断率 × 報告率

という五つの比率を掛け合わせた結果だからです。もちろん、おたふく罹患率が上昇すると、ほぼ比例して難聴患者率は上昇することになります。でも、難聴患者率が上昇するのはそのケースだけではありません。例えば、ムンプス難聴に対する認識が広まり、病院への受診率が高まった可能性も考えられます。病院側のムンプス難聴に対する知見が深まり、診断率が上昇したのかもしれません。こうした例は非常に多く、例えば、「○○犯罪の急増は統計からも明らか」と言われる場合でも、実は○○犯罪の発生率は過去から全然変わらず、単にそれまで見逃されてきた○○が犯罪として認知され、検挙率が上昇したからということもあります。14年という長い調査間隔は、こうした違いを生じさせるのに十分な期間だと思います。五つめの報告率は統計上の誤差として現れますが、この文章・表だけからは判断できません。

この調査では、最初は「受療率、受療患者数の増大が推定される」と正確な表現を使っているのに、途中から「ムンプス難聴の増大の一因として」と発生率だけに焦点がすり変わっています。普通の人は見過ごすでしょうから、ちょっとタチが悪いです。

三つめです。仮にムンプス難聴患者数が増加していることが事実であっても、その原因を予防接種に結びつけるのには無理があります。

「考察」をみると、予防接種に原因を求める根拠として、1989〜1993年は54万人〜165万人分のワクチンが供給されて患者率が人口100万人対3.2人だったが、2001年には52万人分のワクチン供給に減って患者率が同5.1人に上昇した事実があると読みとれます。前者が範囲で示されていることも気持ち悪いですし、フロー(接種率)とストック(患者率)の因果関係というのもピントがずれていると思うのですが、これらには目をつぶりましょう。

でも、非常に重要な事実が(おそらく意図的に)隠されています。その事実というのは、患者率が人口100万人対2.5人と低かった1987年には、ワクチン供給は約40万人分にすぎなかったということです(http://idsc.nih.go.jp/iasr/24/279/tpc279-j.html)。おまけに、1987年は子供の数が2001年よりも多かったので、9歳以下総人口で計算したワクチン接種率は2001年よりもずっと低い水準なのです(一番下のグラフ)。それなのに、ムンプス難聴患者数は今の半分以下だった。ということは、本来あるべき解釈は「ワクチン供給が増えるとムンプス難聴患者はむしろ増加する」です。百歩譲っても「ワクチン供給とムンプス難聴患者の間には相関関係がない」です。

「考察」にある「ワクチン接種でのこの高度難聴の予防効果は明らかである」という文章に至っては、失笑どころか、悪意さえ感じられます。多忙な医療従事者は、こうした情報をそのままインプットし、私たち患者の診察に適用するのですから。。。

以上のように、厚生労働省や国立感染症情報センターの資料には、なんとしてでも予防接種に効果があるという事実を引き出そうという、非常に強いバイアス(意思)が存在します。「予防接種は有効」という不動の結論が最初からあって、その目標に向かってあの手この手で統計を操作しています。ですから、この投稿で行ったように、正しい情報をふるい分けるのは、本当に骨の折れる作業です。子供の病気に関する判断が一筋縄でいかないのも、こうした行政側の態度が大きな障害になっていると思います。

もう一つの資料は、膨大な量を見た瞬間に、精読する意欲が失せてしまいました。ただ、斜め読みした限り、

> ということは、一つ考えておかなければいけないのは、ひょっとしたら大きな年齢になるほど難聴になるリスクが高いんじゃないかということです。


という一文が目に止まりました。

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