> では脳症の原因は熱ではなく、ウィルスそのものが脳に危害を> 与えることによるということですか? 脳症の原因(発症機序)は、不明な点が多いですが、脳炎と異なり、ウイルスが直接的に脳を障害するのではないと考えれられています。 脳症でも、「急性壊死性脳症」と呼ばれる型は、脳血管が障害され、血管周囲に、出血したり、血漿が漏出し、脳神経細胞が、障害されるようです(ウイルスなどは、赤血球を凝集させる毒素などを有していて、血管内で、微小な血栓が形成される可能性が考えられます)。 脳炎の場合には、ウイルスそのものが、脳を神経細胞内で増殖し、神経細胞を破壊したり、また、免疫系の細胞により、ウイルスに感染した神経細胞が破壊されると考えられています。> ということは、熱が41度に上がったからといって慌てて解熱剤> を使っても、それは脳症を防ぐことにはならないということで> すか? 解熱剤に使用に関しては、論議がありますが、 熱がどんどん上がって行く最中は、解熱剤は、使用しないで、 39℃以上の発熱が続き、元気がなく、ぐったりしているような時にだけ、使用した方が、良いでしょう。http://ha7.seikyou.ne.jp/home/KandN/tebiki20.htm 体温調節中枢のセットポイントを上昇させるのは、プロスタグランジン(PGE2)と呼ばれる物質ですが、 解熱剤(アセトアミノフェンなど)は、このプロスタグランジン(PGE2)の産生を抑制し、解熱作用を示すと言われます。 プロスタグランジン(PGE2)は、発熱させたり、発痛を促進する作用がありますが、 炎症に関しては、抑制する作用と、促進する作用とがあります。 NSAIDsと呼ばれる抗炎症薬(ボルタレンなど)は、インフルエンザ脳症の治癒を悪化させるようなので、解熱剤としては、処方してはいけないことになっています。 高熱が出たから、必ず、脳症になると言うことはありません。 ただし、高熱が続く場合は、出来る限り、発熱の原因となっている病原体や、感染症の部位を、的確に診断してもらった方が、良いでしょう。 夏場は、エンテロウイルスや、アデノウイルスなどによる発熱が多いと思われます。 アデノウイルスに関しては、咽頭を検査して調べるキットが、保険でも、検査が認められています。