第9回インフルエンザワクチン需要検討会に傍聴して 平成17年6月16日13時から15時(急遽30分延長で15時30分終了)霞ヶ関東京會舘で行われました。50名ほどの傍聴席はほとんどがメーカーの方のようでした。今回いつもと違って厚労省の会議室ではなかったとテレビカメラも来ていたのでなんだか華やかな感じでした。 今回の議事は「需要予測のための調査結果」「次シーズンの需要予測「次シーズンのインフルエンザワクチンの安定供給」などでした。 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/06/s0616-5.html●資料◎ 資料A「インフルエンザワクチン需要に関する研究」◎資料B「2005年度インフルエンザワクチン予防接種需要予測」◎資料C「平成16年度予防接種法に基づく高齢者のインフルエンザワクチン予防接種状況調査報告」◎資料D「平成16年度インフルエンザワクチン流通状況調査報告」◎資料E「平成16年度におけるインフルエンザワクチンの供給状況について」◎ 資料F「平成17年度インフルエンザワクチンの需要について(案)◎資料G「今冬の安定供給対策のポイント(案)◎参考A-1「インフルエンザワクチンの安定供給対策について」(昨年の通知類)◎参考A-2「インフルエンザワクチン安定供給の確保について」(資料はHPで見れないようです。) 2004〜2005年今年のインフルエンザは、・ B型が流行した・ 流行時期が2005年のに入ってからで、例年より遅かった。・ タミフルという特効薬が多く処方されたなどでしたので、今回の検討会ではこのような事を踏まえてどんな予測がされるのだろうと思いましたが、ワクチンの流通のことばかりで人体に打つワクチンのこと、ワクチン効果があったのか?などのことは話すことはありませんでした。 資料Aは「医療機関と老人保健施設及び福祉施設」に対してのアンケート調査の回答を元にしたものでした。でも、回収率が全国31.4%で対象になった医療機関はどうしてこんなに協力しないのか不思議です。積極的に予防接種をやっている医療機関しか回答していないのかもしれません。この研究の考察によると16年度においては1〜6歳、6〜13歳に大幅は上昇があったので、この傾向は続くと予想されています。 しかし、平成16年の小児科学会では・ インフルエンザワクチンの有効率は20〜30%・ 1歳未満児には積極的に進められていないされているし、内科と小児科の考えが異なるのでこれほどの伸びはないのではないか?と神谷委員や廣田委員は言っていました。 図3に「新聞記事数の推移」として新聞雑誌記事の検索結果をグラフにしたものがありましたが、1年毎に周期があるように見えたことから、保高委員(読売新聞論説委員)が今年は流行するのか?とマスコミによる供給不足もあるのか。 平成17年の需要は2087〜2155万本としていました。 資料Bは「ユーザー側である一般の人」にに対してのアンケート調査の回答を元にしたものでした。こちらは資料Aと違って回収率が88%と高率でした。この研究は大日康史氏(国立感染症研究所)のものでしたが、代理で資料Aを発表した三浦氏が行いました。廣田氏から推定結果について質問があっても本人がいないので推測で答えていました。(表の見方がわかりづらかった)検討会にはやはり本人が出席すべきではないかと思いました。 平成17年の需要は1800〜2400万本としていました。年の後半にかけて鳥インフルエンザ(274万本)SARS(542万本)の国内発生者がいればプラス816万本で2500万本の需要もあるとしていました。資料Cは「各都道府県」に対しての調査票の回答を元にしたものでした。公費の補助期間は12月までに設置した市町村が全体の47.5%。1月末は34.3%、2月以降においても公費補助を行ったのは18.2%。市町村によって期間の区切りかたがまちまちだとは知りませんでした。 資料Dは「製造業者、販売会社、卸売業者、医療機関というワクチンの流通状況」を社団法人 細菌製剤協会が調査したものでした。・ 供給数量は市場としては頭打ち、安定期に入った。・ ・今年の状況は接種したい人はできる状況にあったが、残余率が過去最高の22.94%(1000万人分)のロスだったそうです。雪下委員はこのくらいあってもよいのではないかと発言していたが、医療費が膨れあがっているさなかの発言なのか?と思いました。・ 今年はB型が流行したが1,2月と遅かったので罹ったときはタミフルに頼ろうとする人も多いのでは?予防はあくまでもワクチンだが、タミフルの使用量も考慮したほうがよいのではないかと神谷委員は話していた。・ 実際、ワクチンを希望する人は、年内までに打たないと効果はないと思っている?昨年は、調整在庫として100万本を用意しつつも、使用したのは4万6千本。使用先は新潟中越地震と台風23号により被害を受けた人が使用。 調整在庫としてその数はあまりにも多いので、今年は60万〜40万(1社15万〜10万)で、メーカー4社で割り切れる数ということでした。・ いつまでメーカー在庫していないといけないのか?・ もう流行が終わった頃にリリースと言われても市場はない=売れない・ 何万本製造と言われれば対応するから厚労省も協力してほしい・ 9月に需要予測修正値を公表し、ネットを使って調査(どういう方法か?)・ 医師会としてはワクチン返品無しを掲げる通達出す。・ 100本以上返品あったところは、(一例 予約200 余り100 実数100→今年は100)というようにする・ でも、メーカーも病院から強く言われば嫌とはいえない・ 保高委員がSARSが1月末に発生したら、ワクチン接種希望者増えるかもしれない→調整在庫年内に指示は難しい?・製造側としては卵に問題はなし。標準ワクチンメーカー同志で話し合いなどと言ってました。(でも、これが、一番重要ではないか)時間切れの生産、流通の話しだけの発言が集中した終盤のなか、廣田委員が米国の2004、5年のワクチン不足の時に、ハイリスク者を優先した体制は見習うべきということを発言したのは重要だと思いました。今年のワクチン需要は2057〜2154万本。製造メーカーの製造能力は最大で2150万本。 ワクチンが返品できないということになれば、お医者さんは余らせたくない。そうしたら、もっと患者さんにすすめるようになる。こうして、今年はさらにたくさんのこどもたちにもワクチンが打たれることになるのか……。 最後は、時間切れのなか、需要(製造予定)量は厚労省が用意していた資料にしたがい、メーカーが製造できる最大量の二一五〇万本に決まりました。 そのうちわけは、一三歳未満七九〇万本、成人七一三万本、六五歳以上六五〇万本。こどもの需要量はそんなにのびない、乳幼児への効果はきわめて低いといった話はどこへ消えてしまったのか? こどもやハイリスクの人の健康といった観点に立ってきめられているわけではないということだけは痛感しました。