II.調査研究
3.成績
A.小学校の欠席率によって見た市内インフルエンザ流行状況
2)調査成績
(ii)1980年度学級閉鎖状況調査

本調査は,小学校を対象に,1981年1月〜3月AH1N1型流行期間中に行ったものである。調査の目的は,次項に述べる欠席者数を算定するにあたって,学級閉鎖中の欠席者数推定の根拠を求めるためのものである。合わせて,前橋市における学級閉鎖の実態をつかむことも目的の一つであった。

調査結果は〔表5〕に示した。総閉鎖学級数は106学級であり,閉鎖日数では,3日がもっとも多く51学級(48.1%)であった。次いで5日,4日の順で,それぞれ20%前後であった。平均閉鎖日数は3.9日,ざっと4日である。

一学級当たりの平均在籍数は37.7人,約38となる。

学級閉鎖前日の平均欠席児童数は9.5人,平均在籍数の25.2%であった。また,閉鎖解除日の平均欠席児童数は3.4人,平均在籍数の9.0%であった。

前橋市においては,インフルエンザ流行期にあっては,学級欠席率が20%を越えたら5日以上の学級閉鎖をするように指導されているが,これらの数値から見る限りにおいて,実状は25%で4日であることが分かった。そしてこの表の数値から見る限り,4日以上学級閉鎖をすれば,欠席者を80%近く減らすことができたという点で,有効であったということである。

しかし,その後の調査により,これらの数値だけでは学級閉鎖の有効性を決めるわけにはいかないことが分かっており,班会議においてもその後しばしば議論が出ているが,この問題については,改めて調査計画を立てる必要があるという点で意見は一致している。

さて,以上の数値から,学級閉鎖中の延欠席者数の推定値として,単純に次式:(9.5+3.4)×3.9÷2=25.2(人)から,一学級閉鎖当たり延ベ25人とした。その後,前橋市内小学校における学級閉鎖の基準は変えられていないし,学校医から見るところ,実態に大きな変化はないので,5年間を通してこの数値を用いることとした。

実際には,各流行により多少の差はあるであろうし,アンケートにより閉鎖中の罹患状況を調べれば,より正確な数値が得られるとは考えられるが,それによる多少の差は,母数の大きさから見て推定値に大きな影響を与えることはないと考える。


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