II.調査研究
3.成績
D.HI抗体価によって見た小学校のインフルエンザ流行
4)感染既往と感染率
(ii)A/香港型について
A3についても,1981年11月までに,62.8%が抗体を保有する感染既往者になっていた。
1982年1月〜3月の流行はB型を主とするものであったが,この時の抗体検査から,指定5校のうち,敷島小,大利根小2校にA3の小流行があったことが判明した。そして,欠席率曲線を検討した結果,市内37校中14校において,B型流行後にA1小流行があったと推定された。そこで,〔表18〕では,敷島小,大利根小を一グループとして,他の3校と分けて示した。
1983年1月〜2月にはA3の本格的な流行があり,そして3年後の1985年11月〜12月にも流行があった。
1982年に流行があった敷島小,大利根小について見ると,1982年の小流行において,感染既往の有無によって,感染率に大きな差を見せている。そして,この時の流行は,翌年の流行時の感染率に,更に顕著な影響を与えた。即ち,前年感染しなかった者の感染率49.7%に対して,感染した者のそれは8.5%に過ぎなかった。
更に3年後の1985年11月〜12月の流行においても,感染既往の有無は大きな影響を与えている。これについて,5校全体の傾向を知るため,1982年2月〜3月の小流行を無視して一括した成績を〔表19〕として再掲した。この表から,1985年11月〜12月の感染率を見ると,3年前に感染しなかった者67%に対し,感染した者34%で,概ね2:1の関係であった。
このような経過の中で,すべての流行に感染した者は506名中1名であり,すべての流行を免れた者は2名であった。小学校卒業までに,すべての児童が,1〜3回の同型ウイルス感染を経験するものと考えられた。
[前へ-上へ-次へ]