II.調査研究
3.成績
D.HI抗体価によって見た小学校のインフルエンザ流行
4)感染既往と感染率
(iv)既往による感染防御率

以上のことから,一般的にどの型系列においても,以前の感染既往が感染率を引き下げる作用を及ぼしていることが分かる。すなわち免疫効果のあることを示す。たとえばワクチンを接種していなくても,そしてウイルスが変異を続けている条件下に於いても,免疫効果は明らかに保持されているということである。

比較に耐える対象数を持ち,感染率に一定の傾向が認められるのは,前回流行時の感染の有無とその後の流行における感染率との関係であるので,これについて検討した。

前回流行時の感染の有無を中心に六つの流行について比較して見たのが〔表20〕である。いずれの流行においても,前回流行に感染した者の感染率は,しなかった者に比べて明らかに低かった。さらに前前回の流行に感染したかどうかによってさらに分類して見ると,これもまた明らかに感染を繰り返すほど感染率は低くなる傾向が認められた。

そして〔表20〕の一番右の欄に示したごとく,前回流行との間隔(年)と,ワクチン有効率の計算式に準じて求めた防御率との関係は,ざっと1年後ならば80%,2年後ならば70%,そして3年後では値はばらつくがおよそ40〜60%になることが分かった。


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