III.われわれの見解
3.インフルエンザワクチンによる感染防禦
(前文)

先に述べたごとく,感染防禦効果が十分強力であれば,そのワクチンに流行阻止を期待することが出来る。われわれは,集団接種のポリシーを検討する一環として,現行ワクチンの感染防禦効果を知りたいと考えた。

ワクチンの効果について,“型が一致すれば”80%の有効率を持つとしばしば言われているが,型が一致することは希なのであるから,この数字を実際に当てはめることは出来ない。しかも,年々数多く発表される調査報告は,その成績にバラツキが多く,判断に迷うことも多い。

これも,インフルエンザという疾患の難しさに起因するのであるが,その問題点を2,3検討しておきたい。


[前へ-上へ-次へ]