先日のNHK総合の番組「ためしてガッテン」を見ていましたら、風邪薬の話がテーマになっていました。番組の流れはインターネットでもある程度紹介されています。http://www.nhk.or.jp/gatten/archive/2005q1/20050119.html私なりに要点をまとめると次のようなものでした。1 風邪薬は症状を緩和するものであって治療薬ではない。2 風邪のときに処方される抗生物質は、風邪のウイルスには効果がない。3 風邪のときに処方される抗生物質は、肺炎の予防目的という意図があったが、予防効果は期待できないことがわかった。4 風邪のときの抗生物質は、したがって有害無益である。耐性菌の問題も憂慮しなければならないでは、風邪で病院へ行って薬をもらっても仕方がないのではないか?インフルエンザの早期鑑別のために、早期に受診する意味がある。インフルエンザは48時間以内に治療薬(抗ウイルス剤)を服用することで治療ができる。という流れでした。番組の感想まだまだ多くの方が思い込んでいる、風邪を引いたら風邪薬という常識に一石を投じている役割は大きく評価できる。通常の風邪において、抗生物質は有害無益というガイドラインが昨年の学会ででききたということで、時代の移ろいを感じる。解熱剤も含めて、風邪の治療として長年常識化していたスタイルは、有益であるより有害であったのではないかという疑念がいっそう深まった。そのように、風邪における薬物治療の限界と、常識化されているスタイルを否定しておきながら、あらたに脅威としてインフルエンザを取り上げ、積極的な鑑別と治療の必要を訴える構成にはむしろ短絡的な流れを感じた。風邪は治療できないが、インフルエンザは治療できる(治せるという表現)という前提で番組を構成しているように思えたが、番組の前半で、耐性菌や抗生物質の有害無益を訴えるのならば、インフルエンザ治療薬(抗ウイルス剤)過剰使用による耐性ウイルスの急速な広がりや、感染期間をわずか1-2日短縮させることの意味にまで踏み込んでもらいたかった。もちろん「インフルエンザは予防接種が有効です」「まだ流行していない地域では、今からの接種でも間に合います」という趣旨のコメントも当然ありました。