私が、タミフルに疑問を持ったのは、となりの子がインフルエンザの薬を使用後に、救急車で運ばれるような事態があり、そのお母さんに「インフルエンザの薬は怖いよ」と聞いたことがきっかけです。時期、薬品名リレンザなのか、タミフルなのかがはっきりしないのですが、たぶん2002年の春のことです。2003年かも知れません。当時、年長くらいだった男の子がインフルエンザの診断を受け、あたらしいインフルエンザの薬があるから、と処方されて服薬。そして、症状ははっきり聞かなかったのですが、容態が悪化して救急車を呼ぶほどの状態になったそうです。そのとき、運び込まれた病院の医師が、「子供に飲ませる薬じゃないのに、どうなっているんだ」と言ったそうです。だから、タミフルだとすると、まだ小児用が発売される前?だったのかもしれません。(タミフルドライシロップは、2002年1月17日承認、同年7月31日発売、タミフルカプセルは2000年12月12日承認、2001年2月2日発売)参照:タミフルドライシロップ発売のご案内PDFファイルです。http://www.chugai-pharm.co.jp/hc/di/scholar/item/drug_data/news/2002/Tam0207.pdfとにかく、子供に使うものではない、という立場の医師がいたということですね。(小児用発売前であれば、当たり前ですが)それから、子供用ではないものでも、平気で投与する医師もいたということ。それからもうひとつ。これは、リタイアした医療関係者の友人がふと漏らした言葉から。友人「今年はインフルエンザ流行ってるから、病院は大もうけだよ。」私「儲かるものなの?」友人「そりゃあ、もう。」その後、2人でため息ついてしまいました。こんな経験から、「インフルエンザ=商売」というのが、私の頭の片隅にこびりついてしまいました。そんな考えの私がやっぱり、と思ったニュースが上のニュースの項目に引かれていました。早速読んでみたところ、現在のタミフルにまつわる世の中の動きの裏側を示しているようで、興味深かったので、長いのですが、引用してみました。特にロシュ社が、「金の卵」だったのに、値段が高く副作用も大きいためあきらめるところだった、という点に私は強く興味をひかれました。スイスの製薬会社ロッシュ 鳥インフルエンザで盛業http://www.swissinfo.org/sja/swissinfo.html?siteSect=105&sid=6172114&cKey=1129814298000EUで鳥インフルエンザ感染拡大の懸念が広まる中、ほくほく喜んでいるのは抗インフルエンザウイルス剤「タミフル」を製造・販売するスイスの製薬会社ロッシュだろう。スイスでも、鳥インフルエンザが人に感染した場合に唯一効くといわれているロッシュのタミフルの乱用や個人による無駄な備蓄が騒がれ、スイス医師連盟や薬局協会が無駄な処方や処方箋なしの販売を慎むように呼びかけているスイスでも買いだめ現象 タミフルは日本でもスイスでも医者の処方箋なしでは買えない薬だ。しかし、ル・マタン紙の日曜版(10月16日付け)では「患者の強い要望で患者を失わないためにタミフルを処方する医者が増え、薬局の10件中8件はストックがない」と伝えている。スイス医師連盟のジャック・ド・ハラー氏は「便宜を図るためにタミフルを配ることによって悲劇的な結果を招きかねない」と警鐘を鳴らしている。タミフルで大儲け タミフルは一箱86.50フラン(約7千700円)するカプセルタイプの錠剤で朝夕に数日間の服用が必要だ。ル・マタン紙によると製造費は30フラン(約2600円)前後で、薬局のマージンは35フラン(約3100円)ほどというから、儲けているのはロッシュだけではない。 この大当たりのタミフルのお陰でロッシュの売上高は2005年前期だけを見ても前年比で357%高の5億8000万フラン(約516億円)にも上ったとル・マタン紙。 しかし、鳥インフルエンザが世界的に流行する前には、この「金の卵」の製造をロッシュは「値段は高いし、保険は効かないし、吐き気やめまいなどの副作用が大きい」として諦めるところだったと10月15日付けのトリビュン・ド・ジュネーブ紙は伝えている。タミフルは本当に効くのか? 世界保健機構(WHO)が鳥インフルエンザの対応に勧める薬品はタミフルと吸入剤のリレンザだ。しかし、タミフルの方が服用が簡単なために多くの国がこれの備蓄に急いでいるので世界中での需要が急増した。 しかし、この「特効薬」ラッシュにブレーキをかける動きも出てきた。英科学誌ネイチャーが「鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)に感染した患者から、タミフルに耐性を持つウイルスが検出された」という研究が10月20日に発表される予定と朝日新聞や仏ル・モンド紙などが報道した。同研究は鳥インフルエンザに感染した患者のウイルスの遺伝子を調べたところ別の抗インフルエンザウイルス薬リレンザは効果が認められたことからタミフルばかりでなく、リレンザも備蓄するべきかもしれないという趣旨のもの。 また、10月上旬に同様の「タミフルに対するウイルス耐性が見られる」といった研究結果が香港の研究者からも報告されている。ロッシュの専売特許 WHOは鳥インフルエンザが人間に感染した場合に備えて人口の25%を治療できる薬品が必要と各国政府に呼びかけている。 ロッシュは急増する需要に対応するために「2006年までに生産量を2004年時の10倍」にすると発表している。ロッシュのタミフルの専売特許は2016年までで現在のところ独占状態のうえ、ジェネリック薬(特許が切れた新薬を同じ成分でつくる後発医薬品)の製造も今のところ認めていない。 しかし、ここ数日間でトルコ、ルーマニア、ギリシアでの鳥インフルエンザの発生に続き国際的圧力も高まり、10月18日、ロッシュはこの需要に応えるために他社にタミフル製造のライセンスを認可する用意があると発表した。世界貿易機関(WTO)の取り決めでは保険衛生上の危機に関わる場合はジェネリック薬の製造を許可している。このため、ロッシュは何としてもこれを避けたいところだろう。 「風が吹けば桶屋が儲かる」と言う諺があるが、「鳥が病めばロッシュが儲かる」という方がピッタリの事態にある。