今朝の朝日、日経、北海道新聞に<鳥インフルエンザを破壊する繊維を開発>および試作品のマスクをした写真が掲載されました。
10月末に発表して直ぐに発売を中止(?)した資生堂のウィルスカットマスクも同じですが、インフルエンザ怖い怖い症候群を助長するだけで何の意味もないように思います。
これから述べることは20年以上マスク開発に携わってきた不織布屋の言うことですからアカデミックではありませんが、医療関係に従事している方々に補強なり批判なりをお願いしたいと思います。
一般的にカビ>細菌>ウィルスという順にサイズが小さくなり、この微生物の世界も弱肉強食で強さもサイズに比例します。だからお茶のカテキンやカニ殻のキトサンのようなマイルドな抗菌剤でもウィルスに効くのです。昔からある極一般的な消毒剤、ヒビテンを応用した抗菌マスクを試作して公立の試験機関で香港A型インフルエンザウィルスの抑制試験をしたことがあります。充分な効果がありました。ウィルスは体外では自己増殖しないといわれています。まず<鳥インフルエンザウィルスを破壊>などと大仰な見出しをつけるほどの技術ではないということです。新聞記事では中身についての解説が無いため詳細はわかりませんが、どうも銅イオンの抗菌性が寄与しているらしい。銅イオンだけなら巷に溢れかえる抗菌グッズの一つに過ぎない。他には銀イオンもあるし、有機系でも有効な抗菌剤は一杯あります。
マスクに戻って、この繊維の効力が本当だとしても、一瞬のうちに通過してしまう衛生マスクではウィルスを止めようがない。たまたま運悪く(運良くカナ)引っ掛かったウィルスが10分以上の呼吸の間ずっとおとなしくマスク上でじっとしていてくれたら、そのうちの99%が破壊されるということです。
体内に入ってはじめて増殖するウィルスなのです。ウィルスで汚染されたかも知れないマスクは使い捨てにするのが一番。ならば安価なマスクが一番良いのです。
ウィルスが怖いのは身体に入ってしまうと消毒剤や抗菌剤が使えないからです。それも一個や2個のウィルスが飛び込んでも増殖しなければ怖くない。タミフルやリレンザもこの増殖を抑制するだけで治療するわけではない。感染後48時間以上経過して、ウィルスを増殖させてしまったら後は高熱を発して、身体が持つ自然治癒力に任せるしかない。高熱はウィルスだけでなく身体自身も打撃を受けます。ウィルスがやっつけられるのが早いか身体がまいるのが早いかの危険な時間競争になるのです。ここが乳幼児や高齢者に注意を要する点です。解熱剤は身体も楽になりますが、その分ウィルスも助かるのではないかと思います。
マスクの目的はウィルスを遮断することではなく、乾燥して冷たい空気が咽喉を直接刺激するのを防ぐことです。このため呼気と吸気の入れ替わり時に湿度と温度を上げるのです。こうして喉の奥が健康で湿潤状態に保たれていればウィルスが着床しても増殖しにくいのです。ウィルスが一個飛び込んでも身体は警鐘を鳴らし、キラー細胞が出動します。この防御隊が陣容を整えるまで、ウィルスを増殖させないことが肝心なのです。
花粉程度の大きさならガーゼマスクでも充分防御できます。ウィルスは高性能マスクでも止まりません。息苦しいだけです。WHOがSARZ対策で推奨したN-95マスクも息苦しくなるだけで、ウィルス遮断という点では何の意味もありません。ましてや抗菌やウィルスカットマスクに何の意味もないことは断言できます。
ウィルスを身体に入れないために
外出から帰ったら着替え、手洗い、洗顔を
マスクは安価なもので外出時の積極的な着用をお勧めします。
これは咽喉を乾燥と冷却から保護するためのマスクです。
長時間身体を冷やさないこと、湯冷めや、隙間風を防ぐ
身体が暖かくなる民間療法も一つの方法です。
適度な水分補給(嚥下効果でうがいよりも有効)
咽喉周りを暖めるマフラーによりAVA(NHKのためしてガッテンのHPにあります)を開いて手足の末端血流を増加させる。
寝る前の軽い運動(冷え症対策に抜群の効果)
就寝時の水マスクとおやすみマフラー
最高のインフルエンザ対策は身体の抵抗力をつけることです。
どんなに権威ある専門家の発言でも対処療法はごく一部のことを言っているに過ぎない。けっしてあるある症候群やもんた症候群に陥らないように。
しまりのない文章になりましたが、賛同やご批判を賜りたいと思います。