| |
管理者が重要と考えるポイントを列記してみました。
- 前橋レポートは、インフルエンザ予防接種の「有効性」を否定しているわけではありません。
- インフルエンザ集団予防接種は、もともと個人防衛の効果が低いことを承知のうえで、社会防衛のために導入された。しかし、大人がウイルスの媒体になっている可能性が高いことを勘案すれば、学童を対象とした集団防衛策は再検討すべきだ。
- 全国の流行状況と比べても、予防接種を中止した前橋市での流行状況に特別な変化が現れたとはいえない。近隣のワクチン接種地域と比べても、患者数、医療費、超過死亡いずれの基準でも特別な変化は起きなかった。
- 自然感染による免疫は、年数を経るにしたがい徐々に減衰はするものの、驚くほど良く保持されていることが分かった。
- 自然感染していない場合、次の流行時に感染する確率が高くなる。一方、一度自然感染すると、たとえウイルスが変異したとしても、その後の感染率は大きく低下する。自然感染による次回流行の防御率は、1年後80%、2年後70%、3年後40〜60%と計算された。小学校6年間でみると、平均1〜3回の同型ウイルスの感染を経験することになる。
- 1年に限ってみれば「予防接種は有効」という結果が出ても、数年間を通してみると、予防接種をしてもしなくても感染率は変わらなくなってしまう(ホスキンスのパラドックス)。
- インフルエンザ感染を防ぐ決定的な要因は、過去の自然感染歴であって、ワクチンの効果は一過性のものにすぎないと考えるべきだ。
- ワクチン接種地域と前橋市(非接種地域)を比較すると、集団レベルの予防接種の有効率は最大でも30%程度と計算された。
- インフルエンザの感染では、上気道(のど)粘膜の免疫が重要な役割を担うが、予防接種ではこの免疫を高めることはできない。
- インフルエンザ予防接種は、ブースター効果しか期待できず、自然感染していない人には効果がないかもしれない。そうであれば、予防接種にブースター効果を期待する人は、自然感染していることを暗黙の前提としていることになるため、自己矛盾を起こすことになる。
- 症状軽減を目的として予防接種を行うと、感染力を持ったまま出席する児童が多くなる結果、逆にインフルエンザ流行を拡大させる要因になるかもしれない。
- 予防接種によってウイルス排出が抑止されるかどうかに関しては明確な答えはない。しかし、予防接種をした人からウイルスが分離された例は報告されている。
- 感染しても発症しない(不顕性感染)児童は全体の20%と非常に高い割合を占めていた。不顕性感染の児童からもウイルスが分離されていることから、不顕性感染者がウイルス伝播に大きな役割を果たしていると思われる。
- 他の様々な論文を調べても、インフルエンザ予防接種の有効率は決して高くはない。また、インフルエンザ予防接種の効果を調べた論文には不完全なものが多い。サンプルにバイアスが存在すると、「インフルエンザ予防接種は、30%の有効率で風邪を防御した」といった結論が出てしまう。
- 以上のように、インフルエンザ予防接種は、多少は「有効」かもしれないが、長期的にみれば「有益」とはいえない。
| |
|