III.われわれの見解
7.インフルエンザワクチンの副反応

われわれはインフルエンザワクチンの副反応について調査していない。ただ,班員の一人由上が,1970年までの医学中央雑誌によって,原著として報告された予防接種副反応例を調査した際,インフルエンザワクチンによるものとして,脳炎3例,急性視神経炎3例,中心性網膜炎1例,横断性脊髄炎1例,眼障害1例,ショック死2例の計11例を収集した。このうち眼障害の1例はブドウ膜炎に黄斑部萎縮を伴ったものである。また,視神経炎の3例は,前橋市医師会,元会長青木豊が報告したものである。これ等の報告から,インフルエンザワクチンの副反応が神経系に集中する傾向がうかがわれた。その後,1976年ブタ型インフルエンザのワクチンで,ギャンバレー症候群の多発が米国で報ぜられ,衝撃を受けた。

わが国では,1972年から,HAワクチンが採用され,副反応は希になったと考えられるが,それでも,予防接種健康被害認定患者中26%を占め,ワクチン中最多となっている。また,角田によれば,入院を必要とする副反応は,注射25000回に1回と計算されるという。これを,人口27万人の前橋市に当てはめると,接種率80%で年間3人程度になり,決して少ない数ではない。そして,この中には重篤な神経障害が含まれる可能性がある。


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