1週間前の母里さんの講演で耳にして、おもしろいと思ったことを書いておきます。インフルエンザのウイルスは絶えず変異していて、それこそ膨大な種類のウイルスが存在します。ワクチンを作るときは、様々な情報をもとに、次の年の流行株を予測し、ワクチン株を決定します。でも、予測された株がワクチンに使用されるとは限らないのです。例えば、2003年度の香港型(H3N2)の決定過程は、1. 変異が多くなっているため、抗原変異株のなかから選定すべし 2. でも、ワクチンとして使えるものがなく、途中で開発を断念してしまった 3. じゃあ、別のを選びましょうと、二つを候補に挙げる 4. でも、その片方は増殖効率が悪いから、大量製造は難しい 5. ということで、消去法で、残りの一つに決定 結局、前年と同じワクチン株が使われることになったのでありました。絶えず変異しているインフルエンザの予防接種を作るのは難しいのは分かるのですが、こういう別の問題もあるのを見ると、ワクチンの効果が低くなってしまうのは仕方ないことなんでしょうね。一つ評価できたのは、そのワクチン株に対して、「5〜19歳の若年層では比較的高い抗体保有率が見られる」と注釈を付けている点。これは、「抗体価が高いんだから、予防接種は必要ないんだよ〜」と判断していると考えていいのでしょう。 今後は、是非こちらの情報の方を広めてもらいたいと願います。平成15年度(2003/04シーズン)インフルエンザワクチン株の選定経過http://idsc.nih.go.jp/iasr/24/283/dj2835.htmlちなみに、今年度は↓です。平成16年度(2004/05シーズン)インフルエンザワクチン株の選定経過http://idsc.nih.go.jp/iasr/25/295/kj2951.html