11月1日付朝日新聞に、インフルエンザ予防接種の記事が載っていました。私なりに目に付いたポイントを要約すると次のようなものです。効果について1 6歳未満の子供にはあまり効果があるとはいえない。2 成人には効果がある。3 高齢者には、ある程度効果がある。予防接種の意味についてインフルエンザの最大の犠牲者は高齢者である。あまり効果がないとされる子供にインフルエンザの予防接種を受けさせるのは、子供へ予防が家庭内にインフルエンザを持ち込むことを防ぎ、高齢者への二次感染を防ぐことにある。この論説にはある意味感動しました。矛盾があっても正義なのだという強い信念すら感じられます。高齢者に配慮して、成人や子供はインフルエンザの予防接種を受ける意味があるというのですから、個人の予防や効果の是非という観点ではないのですね。誰が言い出したことかわかりませんが、私の感覚では共感できない主張です。矛盾を言うならば、そもそもこの核家族のすすむ社会の中で、一体どのくらいの子供が祖父母と暮らしているというのでしょう。そして、あまり効果がないという年齢層(子供)へ予防接種をしても、効果がないと言うことが統計的事実ならば、家庭内にインフルエンザを持ち込む確立は、大きくは変わらないのではないでしょうかねぇ。
時節柄、他の全国紙でも特集が組まれていましたね。> 高齢者に配慮して、成人や子供はインフルエンザの予防接種を受ける意味があるというのですから、個人の予防や効果の是非という観点ではないのですね。> 誰が言い出したことかわかりませんが、私の感覚では共感できない主張です。30年前の「学童防波堤論」と全く同じ発想ですね。> 矛盾を言うならば、そもそもこの核家族のすすむ社会の中で、一体どのくらいの子供が祖父母と暮らしているというのでしょう。この指摘は鋭いです。ちょっと調べてみましたが、高齢者(65歳以上)のいる世帯で、子供が含まれる可能性がある世帯は、全体の4分の1にすぎません。これは上限ですから、実態はかなり少ないと思います。> そして、あまり効果がないという年齢層(子供)へ予防接種をしても、効果がないと言うことが統計的事実ならば、家庭内にインフルエンザを持ち込む確立は、大きくは変わらないのではないでしょうかねぇ。一番の問題点は、「発症しなければ感染源にならない」という強い仮定の上に成り立っていることだと思います。この仮定が真実なら、たとえ 30%でも効果があるのであれば、高齢者の死亡率は確実に低下するでしょう。でも、この仮定が成り立たなかったらどうでしょうか?前橋レポートでは、「感染予防効果」と「流行予防効果」とが明確に区別されています。そして、「感染予防効果」については、当時宣伝されていたよりも相当低いものの、「ある」ことが認められています。この点は、最近の新聞報道と大差ありません。一方、「流行予防効果」は明確に「ない」という結論が下されています。集団予防接種を中止した前橋市と、集団予防接種を継続した隣の市との流行状況を比較してみると、答えは明白でした。では、なぜ、多少なりとも効果があるのに、流行してしまうのでしょうか? その理由の一つとして挙げられているのが、不顕性感染者の存在でした。つまり、抗体価を調べて確実に感染したと判断されるのに、症状が全く現れなかった子供たちが全体の2割もいる。そして、この子供たちの咽頭からもウイルスが分離され、感染源となる可能性があることが示されました。実はインフルエンザに感染しているのに、普段通りに元気に生活している子供たちが大勢いるのです。ましてや…朝日新聞の記事では、冒頭でとても大事なことが指摘されています。「ワクチンは感染を完全に防いでくれるわけではないからだ。ただ、感染しても症状を軽くする効果はある」という部分です。どうして、ここから「たとえ軽くても罹ったわけだから、感染源になるはず」という結論が出てこないのか、不思議でなりません。ゴホゴホとコンコンの違いにすぎないのに。。。