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整体について | 整体という言葉は、かなり一般的な言葉として定着してきていますが、それほど歴史のある言葉ではありません。昭和以前は正体術などといわれておりましたし、またその実態は各自に処方される歪み修正体操なようなものだったといえます。
近代において、整体のもっとも大きな功績者は野口晴哉氏でしょう。野口整体はみなさんが整体でイメージするような関節をポキポキ鳴らすような暴力的技術ではなく、思想哲学的であり、その技術はきわめて繊細です。
野口氏は整体を治療ではなく体育と主張します。
病気を修理すべき故障とみなすのではなく、病気を経過することによっておこる心身の変化を、一生というスパンにおける必然的な成長機会と位置づけます。
例えば「おたふく風邪」などという感染症。おたふく風邪は生殖器系の成長のスイッチというような独特の見方をします。よって適切な時期にそのような病気の経験が必要であると結論します。
野口整体は深い洞察に基づく独特の世界です。
一方、同じ時期に亀井進氏が姿勢保健均整術という整体を創設します。
亀井整体は一般に均整術などといわれておりますが、一時期に野口氏と交流があったのか、野口整体でいう「体癖」、均整では12フォームといますが、体のゆがみを大きく12種に分類し、この分類によって定型の治療を施すのが基本です。その後、術者の判断で必要な手技を補います。均整術を私の目から見れば、野口整体の思想を排し、手技技術に特化した体系と思えます。
整体の分類に入るか判断が難しいですが、操体法という矯正体操もよく知られています。
考案者の橋本氏はそもそも開業医であり、現代医学では対応できない痛みや日常的な症状の原因が、体の歪みにあり、それを修正することで、症状が改善するという原理の追求に熱心でした。
関節の動きを分析し、より動きやすい方向へ動作し、脱力させることで歪みを修正するその方法論は、安全で、あらゆる年齢層に適用できる優れた方法です。
最近、街角でよく目にする整体の看板は、残念ながら良質の流派とはいいがたい現状です。たんなる民間資格(注)国家資格と間違えるようなふざけた名称も多い) や自称「整体師」の世界ですから玉石混合で、「当り!」にあたる確立はひくいと思います。ごく短期の講習などで安易に開業しているのが現状です。
また、評判もあてにならず、とくに「一回で良くなった」などという台詞には要注意です。体がどのように治るのか、その経過を知るものからすれば、そのほとんどは、錯覚やごまかしであり、治ったわけではないことが多いのです。
効能を誇大に吹聴したり、技術がひくく力任せであったり、レベルの低い整体は有害です。整体の選択には十分お気お付けを。
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