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C. 小学校の欠席率によって見たワクチン効果

前章において,学童に対するインフルエンザワクチン集団接種が,地域流行抑止の面でさしたる影響を現してはいないことを述べたが,直接接種を受ける学校集団は,いかなるワクチン効果を蒙っているのか。

以下に,1984,1985年度に県下の全高校・小中学校を対象として行われた,県教育委員会および衛生公害研究所共同による流行期間内欠席者数調査報告の中から,市域小学校を抽出して,欠席率を指標として見たワクチン効果の実態について述べて見たい。言うまでもなく,ここにいうワクチン効果とは,集団防衛のレベルに関するものであって,個人防衛のそれではない。


1) 調査方法

調査用紙は,市町村教委を経て学校に配布し,学級単位で調査を実施した。

調査項目は,(1)かぜによる欠席,早退の状況,(2)37℃以上の発熱の有無,(3)インフルエンザワクチン接種状況,(4)学級閉鎖の有無と期日,(5)授業時間の短縮措置の有無などであるが,この章では(1)から(3)の項目に関する資料を利用する。

調査対象期間は,1984年度は1985年1月8日から2月28日まで,1985年度は1985年11月3日から12月28日までの授業日とした。ただし,インフルエンザ様疾患による欠席率が在籍の2%以上で持続した期間をインフルエンザの流行期間として,学校毎に流行期間を決めて調査した。

日別欠席率は,在籍数を母数として,それに対する毎日の欠席者数の割合を%によって示すこととし,学級閉鎖中の学級については,在籍数の20%の者が欠席しているものとして算定した。

ここにいうインフルエンザ欠席者(以下,単に罹患者という)とは学校毎に決めた流行期間内の欠席者のうち,以下の条件を満たすものとした。


  1. 37℃以上の発熱があって,連続2日以上欠席した者。
  2. 発熱は不明であるが,連続3日以上欠席した者。


上記の履患者について,インフルエンザワクチン接種回数より「非接種群」「一回接種群」「二回接種群」の3群に分類し,それぞれ集計した。各群の欠席者率を以て罹患率とした。

2) 比較対象地域の設定

ここでは,ワクチン非接種地域と接種地域の比較が主たる目的なので,県内11市のうち,5市を選んで比較検討することにした。

非接種地域としては前橋市と安中市,接種地域としては高崎市と桐生市と伊勢崎市を選んだ。

接種地域として3市を選択した理由は,分かりやすさということも考えてのことではあるが,外にもそれなりの理由がある。

高崎市は県内で前橋市に次ぐ人口を持つ市であり,市としての規模も地理的条件にも大差はない。かつ前橋市の西側で境を接している。県内交通の要地として人の出入りも多い。従来インフルエンザワクチン接種には熱心なところで,常に接種率は80%を下ったことがない。この点では前橋市と対称的である。

安中市は,その高崎市の西側に接し,碓氷川の周辺に広がる人口5万に満たぬ小さな市である。

人口からいえば,高崎市の次は桐生市そして伊勢崎市の順になるが,初めに伊勢崎市について言えば,前橋市の東南で境を接し,通勤通学などで前橋市との間に人の流れが多い市である。また南は埼玉県に接し,東武線あるいは本庄市経由で高崎線により,東京方面とも交通は盛んである。そのためか,インフルエンザの流行開始はいつも早い方である。

一方桐生市は,前橋市から東方へ三つの町村を間に置いて,栃木県との県境に接する市である。県内平野部のうち東南部地域の流行を代表してもらった。桐生市,伊勢崎市のワクチン接種率は同じくらいであり,1984年度はそろって59%,1985年度にはそれぞれ47.7%に51.0%と,約10%前後の低下を示した。ちなみにこの年,高崎市は85.6%から80.5%へと約5%の低下であった。

県内各市小学校の流行状況を総欠席率の分布状況から見ると,1984年度は,40%〜50%の群と25%前後の群の二群に分けられたが,3市とも前者の群に属していた。1985年度も3市の総欠席率に大差はなく,流行期間と最高欠席率から推定した流行規模「大」「中」「小」三つの群のうち,3市とも「大」の群に属していた。

以上のような訳で,比較対象にこれら3市を選んだことには妥当性があると考えている。

県内11市の残りの6市の成績を加えても,全体としての数値に,結論を変えねばならぬような変化は見られないが,山間部の地理的環境を異にする人口4万〜5万の市を加えることは,かえって比較を困難にすることが多いと考えた。

3) 小学生のインフルエンザ罹患状況

〔表11〕〔表12〕に,前項に述べた5市の小学生のインフルエンザ罹患状況を示した。前橋市,安中市はインフルエンザワクチン非接種地域であり,その下の高崎市,桐生市,伊勢崎市はいずれも接種地域である。調査対象者総数は,各市とも在籍者の99%以上を占める。これをさらにワクチン接種区分別に三つの群に分けて,それぞれの罹患者数と罹患率(%)を示した。

〔表11〕は,1984年度B型流行時のものであり,〔表12〕は,1985年度AH3N2型流行時のものである。

全体として見て,罹患率は1984年度は40%台であり,1985年度は20%台で,1984年度の方が流行は大きかったと言える。1984年度の罹患率には最高11.8%の差があり,1985年度には8.1%の差があるが,流行の地域差と見るべき程度のものであり,かつ大きな差とは言いがたい。さらにこれをワクチン非接種地域と接種地域に分けて比較して見ても,両年度において大きな差はない。

しかし,接種地域のワクチン接種区分別各群の罹患率を見ると,「非接種群」「一回接種群」「二回接種群」の順で罹患率は低くなり,もしも一般に広く行われているごとく,「非接種群」を対照群としてワクチン有効率を計算して見れば,高崎市,桐生市,伊勢崎市の順に,1984年度は29%,24%,16%となり,1985年度は40%,29%,36%となる。確かに接種率80%以上の高崎市は有効率が高いが,接種率が60%以下と低い桐生市,伊勢崎市については,接種率や流行規模と一定の関係は認められない。だが公称70%以上と言われるワクチン有効率と比較して,何と低い値ではないかと言わざるを得ない。

しかし問題は,この低い有効率でさえも,そのままワクチン有効率と見なしていいかというところにある。

4) ワクチン有効率に関する検討

問題の在りかを分かりやすくするために,〔図8〕に示すごとく,非接種地区として前橋市を,接種地区として高崎市,桐生市,伊勢崎市の合計をもって対比することとした。

こうすることによって,3市合計の罹患率は全体として,1984年度43.7%,1985年度24.1%と,前橋市と同じくらいの罹患率になった。そして3市合計中の非接種群を対照としたワクチン有効率は,1984年度25.8%,1985年度39.0%となった。

ここで一つの問題点が浮かび上がってくる。それはここにいう非接種群が,対照群としての条件を備えているかということである。何故ならば,集団接種の実際に当たって,接種日当日,日ごろ「かぜ引き易い」など虚弱と見なされる子どもは接種禁忌として外されるに違いないし,普通小学校には5%位のぜん息児がいるものだが,その大半は禁忌とされている可能性があるからである。また1985年度のように,接種日が流行期間の中に入ってしまったような場合には,当日発熱その他の体の異常を訴える子どもは,やはり接種禁忌とされるであろう。その中にインフルエンザ罹患者がかなり含まれる可能性がある。これらの子どもを含む「非接種群」というのは,当然,無作為に抽出された統計的な意味での対照群としての条件は備えていないとみなければならない。要するに異質のグループなのである。そう考えれば,この「非接種群」の罹患率が,前橋市のそれと比較して著しく高いことも説明することが出来る。

ここで,前橋市と3市合計の流行規模が概ね同じくらい,との前提のもとに,前橋市と3市合計の二回接種群の罹患率を比較すれば,その差は1984年度においては2.2%,1985年度では7.4%となり,これによるワクチン有効率は,前者にあっては僅かに5%,後者にあっては27%に低下する。そして,ワクチンはB型がとくに効きにくいとの従来からの論説にも矛盾しない。

 
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