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〔資料2〕
1979年11月,前橋市においてインフルエンザワクチン第1回目接種後に発生した副反応例について


本症例の発生状況,症状経過及び事後措置の概要について,1980年3月11日付で市から県に送られた「予防接種健康被害発生報告書」並びに1980年8月11日付で前橋市長から前橋保健所長を経て群馬県知事に進達され,さらに県知事から厚生省へ提出されて伝染病予防調査会認定部会の審査に回された「医療費・医療手当請求書の進達について」なる文書に添付された関係書類により,その要点を記せば下記の通りである。

(1) 被接種者氏名 T. I.(1968年6月23日生)前橋市立J小学校5年3組在学中

(2) 接種液 インフルエンザHAワクチン(製造者:K研究所,製造年月日:1979年10月9日,検定合格年月日:同日,製造番号:113)

(3) 健康被害の内容

a. 発見の動機 接種日の当夜,就寝中のけいれん発作

b. 既往歴 生後5カ月に横隔膜ヘルニアの手術を受けた。1979年9月27日(木)午後4時頃,放課後校庭の雲梯で遊んでいるとき,手をすべらせて転落した。その際左腕が下になり体重がかかって「左前腕骨不全骨折(とう骨下端)」を生じた。この際頭部打撲はなく,意識喪失発作による転落と考えられるような状況は認められていない。けいれん発作の既往はない。

c. 家族歴 父(小学校用務員),母(在宅),高校一年生の兄が一人いるが,特記すべきことなし。

d. 予防接種を受けた年月日及び予防接種後の経過

1979年11月15日午後2時ごろ前橋市立J小学校においてインフルエンザ臨時予防接種第1回目の予防接種を受けた。

接種後は通常の教育課程を終了し下校,21時就寝したが,22時30分ごろけいれん発作を起す。発作時間は約1分であり発熱はなかった。12月9日22時30分2回目のけいれんを起し,さらに12月15日22時30分2分30秒間けいれん発作を起したので,救急車で前橋市夜間急病診療所に行き医師の診察を受けた。診察した医師の指示により12月17日群馬大学医学部附属病院脳神経外科に行き,頭蓋レントゲン検査及び12月19日脳波検査を行った。その結果,けいれん発作の診断を受け,抗けいれん剤の投与を受けていたが,さらに1980年1月23日群大病院小児科にて検査を受け,続いて2月14日同病院脳外科において頭部コンピューター断層撮影,脳波の再検査を行い現在に至る。

〔検査成績〕

検査成績の詳細については不明であるが,診断書によれば1979年12月19日の脳波検査の結果,右半球より散発的発作波を認め,1980年2月14日頭部コンピューター断層撮影の結果異常なし。また,同日の脳波検査の結果発作波の軽減を認めた。

(4) 前橋市予防接種健康被害調査委員会の審査経過と結果

1980年5月7日本件について前橋市予防接種健康被害調査委員会を開催し審査した結果「予防接種後に現われた症状が予防接種に起因するものか否かを判断するための資料として,予防接種以前における傷害の原因及びその影響,その他既往歴を明らかにするデータが不足していること及び当該被害者の症状の経過をさらに詳しく観察・検討するため,第3回目の脳波検査をすることが望ましいので,本委員会として現時点で結論を出すことは時期尚早と思われる。よって,最終的な判断はそれらの資料が整備された時点や再度審議し,結論を出すこととしたい。」との中間答申が出され,継続審議となった。

第1回の健康被害調査委員会の指示により,市は関係資料の収集にあたった。その間,5月21日夜第4回目のけいれんを起し,翌5月22日脳大脳外科で診察を受け,5月30日第3回目の脳波検査を施行した。

7月9日第2回目の調査委員会を開催した結果「本件について当該被害者のインフルエンザ予防接種以前の既往歴及び基礎疾患の資料を検討した結果,けいれん(中枢神経症状)は認められず,接種当日より該症状が発生した点から,予防接種との関連は否定できないので,厚生省・伝染病予防調査会の認定部会の審議に付すことが適当である。」との結論に達した。

(5) この件に関する前橋市長に対する厚生大臣からの通知(1981年3月20日付)は「認定することはできない」というものであり,その理由は,


「患児は1979年11月15日にインフルエンザの予防接種を受け,当日夜痙攣発作を起こしたものである。

接種当日の症状が痙攣発作のみであり,脳炎・脳症等の症状がなく,またその後の経過から判断して疾病は真性てんかんであってインフルエンザの予防接種に起因したものとは考えられない。」

ということであった。

(6) 上記の通知を受けて,1981年4月14日に市及び市医師会担当理事,健康被害調査委員等による緊急協議会が開かれ,「市の行政判断で何らかの救済措置を施すことが望ましい」との意見が大勢を占め,市から見舞金が支給されることになった。

なお,この件に関する市医師会予防接種委員会の見解は下記の如く

  1. 本件については,市の健康被害調査委員会で二度にわたって綿密な調査をした結果<予防接種との関連を否定できない>という結論が出ており,これに対して厚生省が<真性てんかん>であると断定するのは全く根拠がない。これを医学的に解明するため,否認の理由を開示するよう抗議したい。
  2. しかし,今までの例からみても理由を明らかにするとは思えないし,争っても相当の時間がかかり,被害者にとって得策ではないので,市が<疑わしきは救済する>立場をとるのであればそれで決着をつけた方が良いであろう。
  3. 市が独自の救済をする姿勢を示せば,今後の予防接種に対しても安心して協力できる。

というものであった。

 
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