風邪やインフルエンザの熱からくる脳炎・脳症について、まったく知識が無いので、いくつか質問させてください。1.脳症・脳炎は、インフルエンザ以外の普通の風邪でも起こりえますか?2.脳炎・脳症を起こす前に、何か、病院につれて行く判断基準になるような、前兆のようなものはありますか?3.病院では、脳炎・脳症になろうとする子に、何か処置をすることにより、脳炎・脳症を防ぐことは可能ですか?4.噂で体温が42度以上になると、脳炎・脳症になると聞いたのですが、それは本当ですか?逆に42度以下でも、脳炎・脳症になることはありますか?( 携帯からの投稿です )
> 1.脳症・脳炎は、インフルエンザ以外の普通の風邪でも起こり> えますか? 脳症でも、MRIなどの画像診断で、「急性壊死性脳症」と診断されるタイプは、インフルエンザ以外にも、突発性発疹(HHV-6)、ロタウイルスなどのウイルスでも、起こります。 http://hobab.fc2web.com/sub6-ANE.htm> 2.脳炎・脳症を起こす前に、何か、病院につれて行く判断基準> になるような、前兆のようなものはありますか? 痙攣、意識障害、異常言動(例えば、壁に、実際は存在しない、アニメのキャラクターが見えると言って、笑ったり、意味不明の言葉を喋ったりする)などは、脳炎・脳症を疑う症状です。 ただ、小児に多い「単なる」熱性痙攣と、脳炎、脳症の区別は、専門医でも、困難な場合が多いと思われます。http://hobab.fc2web.com/sub4-influenza-encephalopathy.htm> 3.病院では、脳炎・脳症になろうとする子に、何か処置をする> ことにより、脳炎・脳症を防ぐことは可能ですか? 単純ヘルペスによる「ヘルペス脳炎」の場合は、抗ウイルス剤(アシクロビル)の投与が、有効ですが、後遺症を残す場合も多いと思われます。http://hobab.fc2web.com/sub6-HSV.htm> 4.噂で体温が42度以上になると、脳炎・脳症になると聞いたの> ですが、それは本当ですか? 脳には、体温調節中枢があり、体温を調節しています。 体温調節中枢が、正常に機能している場合には、体温(脳の動脈内血液温度)が、42℃を越えることはないと考えられています。 脳炎・脳症で、体温が、42℃以上になるのは、脳の体温調節中枢が、正常に機能していないからと、考えられます。
詳しいレスをありがとうございます。いま熱を出している子供(2才)の看病をしながら、携帯で見ているので、載せてくださったURLはのち程じっくり見たいと思います。ちなみに今現在の熱は40度で、昨日も41度まであがり、部屋で横になっている時に、突然天井を指差して「見て!鳥が飛んでるよ」と叫びました。他にもその状況とまるで関係ないことを急に喋ったりしたので、恐くなり、慌てて急患で病院に連れて行ったのですが、診察の時には39度まで下がり、普通の風邪として帰されました。今朝になり、一度38度まで下がり元気になったのですが、いま再び40度まで上がってます。レスだけを読んでですが、質問させてください。熱が上がりすぎて脳症になるのではなく、脳症になったから熱があがるということなのですよね。では脳症の原因は熱ではなく、ウィルスそのものが脳に危害を与えることによるということですか?ということは、熱が41度に上がったからといって慌てて解熱剤を使っても、それは脳症を防ぐことにはならないということですか?すべて載せてくださったページに書かれていることでしたら、すみません。( 携帯からの投稿です )
> 突然天井を指差して「見て!鳥が飛んでるよ」と叫びました。 異常言動は、インフルエンザ脳症の時などにも、見られると言われますが、 小さな子供さんは、発熱時に、脳炎や脳症がなくても、異常言動を言うことがあります(熱性譫妄)。 子供さんが、高熱を出していて、脳炎や脳症にならないか、御心配されておられるようですが、 脳炎や脳症の場合には、意識障害が進行します。 意識状態が正常で、頭痛や、嘔吐などの症状がなければ、脳炎や脳症は、心配ないと、思われます。> 熱が上がりすぎて脳症になるのではなく、 昔の祖母などは、「高熱が続くと頭が悪くなる」などと言う人もいますが、感染症に伴ない発熱し、高熱のみによって、一次的に、脳障害が引き起こされることは、考え難いと言われています。 感染症に伴ない発熱が起こるのは、体温調節中枢の設定された温度(セットポイント)が上昇して、熱産生の指令が出されるからです。 セットポイントは、体温調節中枢が正常に機能していれば、脳神経細胞を障害する温度(42℃以上)にまでは、上昇しないと考えられます。 なお、インフルエンザ脳症の場合、高熱が出ることが多いのですが、38℃代の発熱なのに脳症を起こしたり、(経過中の)最高体温が39℃でも、脳症を起こした症例報告があります。> 脳症になったから熱があがるということなのですよね。 脳症や脳炎で、体温調節中枢が正常に機能しないと、体温をコントロール出来なくなり、欝熱(うつ熱)により、高熱になります。
> では脳症の原因は熱ではなく、ウィルスそのものが脳に危害を> 与えることによるということですか? 脳症の原因(発症機序)は、不明な点が多いですが、脳炎と異なり、ウイルスが直接的に脳を障害するのではないと考えれられています。 脳症でも、「急性壊死性脳症」と呼ばれる型は、脳血管が障害され、血管周囲に、出血したり、血漿が漏出し、脳神経細胞が、障害されるようです(ウイルスなどは、赤血球を凝集させる毒素などを有していて、血管内で、微小な血栓が形成される可能性が考えられます)。 脳炎の場合には、ウイルスそのものが、脳を神経細胞内で増殖し、神経細胞を破壊したり、また、免疫系の細胞により、ウイルスに感染した神経細胞が破壊されると考えられています。> ということは、熱が41度に上がったからといって慌てて解熱剤> を使っても、それは脳症を防ぐことにはならないということで> すか? 解熱剤に使用に関しては、論議がありますが、 熱がどんどん上がって行く最中は、解熱剤は、使用しないで、 39℃以上の発熱が続き、元気がなく、ぐったりしているような時にだけ、使用した方が、良いでしょう。http://ha7.seikyou.ne.jp/home/KandN/tebiki20.htm 体温調節中枢のセットポイントを上昇させるのは、プロスタグランジン(PGE2)と呼ばれる物質ですが、 解熱剤(アセトアミノフェンなど)は、このプロスタグランジン(PGE2)の産生を抑制し、解熱作用を示すと言われます。 プロスタグランジン(PGE2)は、発熱させたり、発痛を促進する作用がありますが、 炎症に関しては、抑制する作用と、促進する作用とがあります。 NSAIDsと呼ばれる抗炎症薬(ボルタレンなど)は、インフルエンザ脳症の治癒を悪化させるようなので、解熱剤としては、処方してはいけないことになっています。 高熱が出たから、必ず、脳症になると言うことはありません。 ただし、高熱が続く場合は、出来る限り、発熱の原因となっている病原体や、感染症の部位を、的確に診断してもらった方が、良いでしょう。 夏場は、エンテロウイルスや、アデノウイルスなどによる発熱が多いと思われます。 アデノウイルスに関しては、咽頭を検査して調べるキットが、保険でも、検査が認められています。